Vol.006 テレビパソコンの行方を考える


Windows95や98が登場したころに比べて、現在のパソコンはCPU、メモリ、ハードディスクなどあらゆる面で大幅に向上している。 Win95登場時から現在までのパソコンの性能向上の推移を以下の表にまとめた。

時 期
CPU
メ モリ
ハー ドディスク
ビ デオチップ
USB/IEEE1394
1995 年年末(Win95登場時)
Pentium100MHz
16MB
1.2GB/PIO
PCI 接続
な し
1998 年秋(Win98登場時)
P2 400MHz
64MB
6GB/ATA33
AGP 2x接続
USB1.1
2001 年年末(WinXP登場時)
P4 2GHz
256MB
40GB/ATA100
AGP 4x接続
USB1.1/IEEE1394
現 在
P4 3GHz以上
512MB
160GB/ATA133 またはS-ATA
AGP 8xまたは
PCI-Express接続
USB2.0/IEEE1394
*それぞれの時期におけるデスクトップパソコンの標準的なスペックを基準 とした。

通常、テレビ放送(標準画質)の録画・再生は、少なくともCPUが1GHz以上、メモリが256MB以上、ハードディスクがUltraATA/33以上の 転送速度に対応していれば使い物になるレベルになるといわれている(ハードディスクの容量は、画質レベルにもよるが最高画質では1時間につき4GBの容量 を消費する。通常レベルでも1時間につき2GBの容量を消費する。また、編集したり、DVDに転送したりするとさらにこの数倍の容量が必要になることもあ る)。

これを踏まえると、Windows95や98が主流だった頃のマシンだとテレビ録画には耐えられないでしょうが、最近のマシンではテレビ録画・再生が十分 実用レベルで使えるようになっているといえる。このことが、最近のパソコン市場でテレビパソコンが花盛りになっている、という事実を陰で支えているのであ る。

しかし、テレビパソコンは現状では十分に使えるものであっても、先行きに急速に不透明感が出てき たようだ。というのも、
という現実を突きつけられている。これを踏まえると、パソコンでテレビ放送を録画するというメリットが、これからだんだん薄れていくことになるのは間違い ない。現在「テレビパソコン市場花盛り」といわれているが、これはそう長くは続かず、「テレビパソコン」自体の人気もフェードアウトしていき、一部の録画 マニアのためだけの「テレビパソコン」となっていくのでしょう。

こうなると、テレビパソコンは2011/07/25以降、テレビ機能が事実上役立た ずになることも考えられる。これ以降は、パソコンの使い道は、「コミュニケーション」、「クリエーション」、「ゲーム」、その他パソコンで なければならないような分野・用途になっていくようになるでしょう。
具体的には以下の表の通り。
使 い道の大分類
具 体例
コ ミュニケーション ●インターネット(ウェブ・メール・チャットな ど)
●ホームページの作成
●ネットワークサーバー(ウェブ・メール・FTP・データベースなど)
ク リエーション
●デジカメ画像・デジビデ動画の編集
●オフィスツール(ワープロ・表計算・データベースなど)
ゲー ム、エンターテインメント
●ゲーム(一部はインターネットを使用)
●映画などのインターネットストリーミング、音楽などのダウンロード購入
*音楽CDからコピーしての楽しみ方は、CCCD(特にポピュラー音楽)やSACD、DVD-Aが主流になることで事実上不可能になる(これでも、PC本 体にオーディオ入力端子がある場合は、この端子から直接オーディオ信号を入力することでダビングコピーが可能だが、アナログオーディオ接続でもコピーを防 止する技術が開発中であり、ダビングコピーでも先行き楽観視はできない)。
そ の他
●業務システム
●公共向けシステム
●上記「コミュニケーション」「クリエーション」「ゲーム、エンターテインメント」の各分類のうち、複数にまたがるもの
その他

著作権保護対策に関することとしてもう一点挙げておきますが、それは、コンピュータソフトウェアにおける「アクティベーションといわれるものである。この「アクティベー ション」が導入されたソフトウェアが最近増加傾向にある。だが、この「アクティベーション」は、ソフトウェアの使用権を表す「プロダクトID番号」と使用 しているパソコンの「パーツ構成」を結びつけることで違法コピーを防止するものであり、このことが自作機・ショップブランド・改造機のユーザーにとって は、(どんなにバックアップをとっていようが)最悪の場合「(当該ソフ トウェアに対する)ライセンスの再購入を強いられる」可能性をもたらす。このため、アクティベー ションが導入されているソフトウェアを使用する際には、
を心がけるようにしてください。このようにすることで万一の際にソフトウェアライセンスの再購入まで必要になるという事態が 生じる可能性を減らすことができるようになると思います(ただし、全てのケースでソフトウェアライセンスの再購入が必要になる事態を回避で きるわけではありませんので、再購入に備えての金銭的覚悟は忘れずに)。
*パーツがクラッシュして実際にライセンスの再購入が必要になった場合でも、以前に使っていたソフトウェアのライセンスを再度入手できると いう保証はありません。また、上位バージョンが発売されていても「(パーツがクラッシュしたことによる)ライセンスの再購入」が必要な事態では、アップグ レード版は通用せず、フルパッケージ版が必要になると思います。

「アクティベーション」が導入されている主なソフトメーカーは以下の通りである。
等々。今後も増加していくことが予想される。大手メーカーだけでなく、中小のソフトウェア会社にも導入の波が押し寄せてくると予想されます。

なお、アクティベーションの導入にあたっては、ソフトメーカー側で設計面やサポート面での配慮により、「ライセンスの再購入を強いられる」可能性が最小限 になるように設計されておりますが、ユーザー側でライセンス契約書を完全に遵守していたとしても、万一のパーツ故障・修理交換の際には「ライセンスの再購入」が必要になる場合があることを覚悟し ておいてください。また、ライセンスのみ再購入しようとしても、新規にパッケージソ フトを購入する場合に匹敵する金額が必要になりますので、この点についても覚悟する必要があります。また、アクティベーションが導入される 範囲も、フリーソフトや体験版を除くすべてのソフトに導入(シェアウェアにも全てアクティベーション(定義はMSなどの場合と全く同じ)が導入 されます!)されることが想定されます。

*もちろん、アクティベーションなどプロテクトを回避する手段を公開したり、プロテクトが回避されたソフトウェアをファイル交換などでやり取りする行為 は、著作権法などに触れますので、絶対にしてはいけません。




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last updated: 2004/09/13 (2011/04/26 一部修正)