Vol.003 今さらデジタルAV (Audio Visual) 機器中心のシステム?



ここ5年の間で、パソコンやインターネットインフラの性能は格段に向上し、いまやCPUはギガヘルツが当たり前、ハードディスクも百GB単位にまで向上 し、さらにDVD書き込み機能までも当たり前になりつつある。そしてさらにデジタルネットワークを使用して、パソコンに格納された音楽・映像コンテンツを ネットワークでつながれた家庭内のあらゆるパソコンからアクセスできるようになったのだから、すごい時代である。
それなのに、なぜここにきてAV機器中心のインタラクティブ操作システムの必要が求められているのか。

まず真っ先に考えられる理由としては次のものがある。
◆パソコンではキーボードアレルギーなどの方が手軽に使いこなせない
◆パソコンベースのAV(Audio Visual)システムは、あらかじめソフトウェアの導入が必要であり、これにはパソコンの知識がある程度必要。

これくらいでは、パソコンの性能が格段に向上し、またパソコンメーカーも最近の製品では買ってすぐ本格的にAVエンターテインメントを楽しめるようにこし らえてきているので、上記2つだけではAV専用機器でこしらえる理由としては説得力が欠けるようになってきた。
次に考えられる理由としては、
◆パソコンベースでは、オーディオやビジュアルの性能がAV専用機器に比べて劣る
というのがあるが、これも一部のオーディオにこだわるマニア・ファンでなければ説得力に欠けるだろう。

これに対して、最近に入って次のような理由が生まれるようになってきた。
ソフ トの著作権保護のため、パソコンベースで扱うことを(ソ フトの著作権者によって)禁止あるいは大幅に制限されるデジタルコンテンツがこれから大幅に増加 する
デ ジタルコンテンツをパソコンベースで扱うことを著作権者が許してしまうと、そのことが違法コピーの温床になってしまい、デジタルコンテンツ産業の健全な発 展を妨げてしまう恐れがある。このために、メディアの方式・種類やソフトのタイトルによっては著作権保護の目的でパソコンベースで扱うことを禁止する必要 が生まれてくる。

このように、著作権保護を徹底させるためには、パソコンベースで扱うことを一切許さないことが必要になるかもしれない。このようになると、現在主流になっ ているパソコンベースでのインタラクティブAVシステムではなく、デジタルAV専用機器だけで構成されるようなシステムが求められるようになると思われ る。このようにすることで、パソコンベースのシステムでは不可能な「違法コピーへの(不正な)抜け道を完全に断ち切る」ことと、ユーザー側にとって快適な 操作環境を実現することが両立でき、ハードメーカーとソフトメーカーが連携しあってデジタルAV産業の健全な発展に寄与することが期待される。

現代の市場では、早くて安くて手軽、そして発展自在なパソコンベースでのデジタルAVシステムがもてはやされており、バブル崩壊後の長期不況もあってか、 AV専用システムは一部のマニア以外にはあまり支持されず、ましてや「AV専用機器でインタラクティブに統合操作」というのは、市場から葬り去られるよう になっていった。特に異なるメーカーの機器間でこれを実現させる手立てが現在まで確立されずにいたからである。



接続の方法

AV機器ベースのインタラクティブAVシステムで、(特に機器のメーカーが違っていても)お互いの機器を操作しあうためには、オーディオ・ビジュアル信号 だけでなく、接続されたほかの機器を操作したり、また動作状況(再生中のタイトル名なども含む)などの情報をやり取りする必要がある。このため、メーカー によって異なる現行のリモート接続方式はあまり望まれない。むしろ、すでに世界標準として確立されたi.LINK方式のようなものが妥当であろう。ただ し、アンプとスピーカーの間だけは現行どおりのスピーカー専用ケーブルを使うことになる。

こうした接続体系により、次のような機器が相互に連携しあって制御・操作しあうようなシステムを実現できます。
機 器の種類
主 な機能
利 点
イ ンテグレーティッドAVアンプ
AV システムの(音声に関しては)中心になる装置で、接続された機器の中から再生対象となる機器を選択し、その機器からの音声などの信号を切り替えて増幅し、 スピーカーに伝えます。
AV アンプから接続されたあらゆるソース機器を制御したり動作状況を表示したりできるようになると、テレビ画面を見ながら機器を操作できるようになり、快適に 映画や音楽などを楽しめます。
フ ラットパネルテレビ シ ステムに接続された機器の映像や動作状況などを表示します。動作状況の表示は必要に応じてON/OFFできます。
接 続された機器と組み合わせることにより、映像コンテンツの鮮明な再生はもちろんのこと、接続された機器の動作状況を表示したり、リモコンで接続されたほか の機器の操作も可能になります。
DVD レコーダー
市 販のDVDソフトの再生や、テレビ放送の録画ができます。(ただし、コピーワンスなど制限の付いたものは、その制限の範囲内に限って行えます)*1
デ ジタルテレビチューナーとの接続で、互いの機器を操作したり、予約録画の制御などが行えます。
MD レコーダー
テ レビ・ラジオ放送の音声やCDなどのオーディオソフトの録音*1・ 再生ができます。
デ ジタルテレビチューナーやラジオチューナーとの接続で、互いの機器を操作したり、予約録音の制御などが行えます。
デ ジタルテレビチューナー
(地上波・BS・CS)
デ ジタルテレビ放送(地上波・BS・CSのうち1種類以上)を受信できます。
現 行の地上波アナログ放送に比べて鮮明・高精細な放送を受信できます。また録画・録音機器との接続で予約録画・録音に合わせた制御にも対応できます。
*1 ただし、各録画・録音機器で録画したも のは、個人で楽しむ目的を除き、権利者に無断で使用できません(著作権法21条・30条・49条)。また録画・録音が技術的手段により禁止あるいは制限さ れているものを、その制限を破って録画・録音することは、たとえ私的使用目的であっても許されません(著作権法30条1の2)。



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last updated: 2004/03/17