Vol.001 アクティベーションとその影響


最近のコンピュータソフトウェアでは、不正なカジュアルコピー(特に、友達同士でソフトウェアのインストールディスクを貸し借りしあってインストールすること)を防止するために、通信手段を使用してライセンスの範囲内で使用されているかどうかをインストールごとにチェックするコピー制御システムが導入されるようになりました。これが「アクティベーション」(「ライセンス認証」ともいいます)です。

通常、アクティベーションはインストールを完了した直後に受検していただくことになっておりますが、インストール直後に受検しなくても任意の時期に受検することができるようになっております。ただし、アクティベーションに合格しない限りそのインストールは製品版として使用することが事実上不可能になります(体験版としては使用できる場合が多い)。
*体験版とは…ソフトメーカーが、自社のソフトウェアの機能を体験していただくために無料で用意したバージョン。一般に、体験版は製品版に比べて使用期間・起動回数・機能などに制限がある(編集や保存ができないなど)。

日本国内で最初にアクティベーションをユーザーに課したのはマイクロソフトの製品で、2001年夏ごろのことである。最初に導入された製品は「OfficeXP」で、それ以降に発売された「WindowsXP」をはじめ、マイクロソフト社製品にはほぼ例外なくアクティベーションが課せられるようになった(開発ツールに関してはライセンスの考え方が少し異なるため、アクティベーションは課されていない。ただし、アカデミック版にはアクティベーションが課せられている)。
*ボリュームライセンス版(企業向け大量導入)には、今のところアクティベーションは課されていない。

アクティベーションのチェックに使用されるハードウェアパーツは次の通りである(マイクロソフト社製品の場合)。
●ビデオカード
●CPUの種類、プロセッサシリアルナンバ
●ハードディスクの種類(型番)
●起動に使用したハードディスクのシリアルナンバ
●CD/DVDドライブの種類(型番)
●ネットワークカード(MACアドレス)

上記のパーツのうち、大部分が異なっていると「別のコンピュータにインストールした」とみなされ、インターネット上でのアクティベーションが不合格になります。

アクティベーションの手続き自体は、初回はインターネットで手続きできるならば非常に簡単です。ただし、コンピュータに内蔵されたパーツを交換(修理交換を含む)すると、再度アクティベーションを要求され、その際アクティベーションが非常にやっかいなことになる場合があります。インターネット上で手続きしたが不合格、電話で手続きしても違法コピーを疑われ不合格、となると最悪の場合ライセンスの再購入が必要になる可能性があります。

アクティベーションプロテクトは、マイクロソフトのほかに、アドビ、マクロメディアなど数社が導入あるいは導入予定であることを発表しております。また大手だけでなく中堅・中小のソフトメーカーも導入されるところが増えることが予想されます。

ただ、アクティベーションプロテクトの問題点としては、そのソフトウェアを導入後に、導入したコンピュータが故障し、特に部品交換(とりわけハードディスク、マザーボード、CPUの交換)を伴う修理が発生した場合、インストールメディアが無事だったり、ダウンロードソフトウェアのバックアップを取っていたりしていても、当該ソフトウェアやそれに対応するライセンスの再購入が必要になる可能性がある、という点です。また、ライセンスの再購入は、ほとんどの場合当該パッケージソフトウェア(またはダウンロードソフトウェア)の通常価格とほぼ同額の出費が必要になることが多いです。
ライセンス再購入にアップグレードライセンスは通用しない
ハードウェアクラッシュでライセンスの再購入が必要な事態に陥ると、通常は以前に使用していたソフトウェアの正規ライセンスをコンピュータが確認することができなくなります。アップグレードライセンスは、前のバージョン(同じバージョンも含む)の正規ライセンスをコンピュータが確認できて初めて導入できるものです。そのため、ライセンスの再購入が必要な事態では、アップグレードライセンスではなく、新規ライセンスが必要になることを心得ておいてください。
(競合他社の同等機能を果たせるソフトウェアのライセンスがある場合は、乗り換えライセンスを購入できる場合がある)



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last updated: 2004/01/28